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社用車の経費処理と税務|減価償却・保険料・燃料費の正しい計上方法

2025年7月7日

はじめに

社用車の経費処理は、多くの企業にとって重要な会計処理の一つです。正しい処理を行うことで、適切な節税効果を得られる一方、間違った処理は税務調査で指摘される可能性があります。本記事では、社用車に関する減価償却、保険料、燃料費などの経費処理方法について、税務上の注意点も含めて詳しく解説します。

社用車の取得時の処理

購入時の仕訳と勘定科目

社用車を購入した場合、取得価額によって処理方法が異なります。

取得価額が30万円以上の場合

  • 固定資産として計上し、減価償却を行います
  • 仕訳:(借方)車両運搬具 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円

取得価額が30万円未満の場合

  • 中小企業者等の少額減価償却資産の特例が適用可能
  • 一括償却または減価償却を選択できます

取得価額に含まれる費用

社用車の取得価額には、以下の費用が含まれます:

  • 車両本体価格
  • 付属品費用(カーナビ、ETCなど)
  • 登録費用
  • 車庫証明費用
  • 納車費用
  • 自動車取得税

これらの費用は、車両の使用開始時点で一括して取得価額に含めて処理します。

減価償却の計算方法

耐用年数の設定

社用車の耐用年数は、車両の種類によって以下のように定められています:

普通自動車

  • 一般用:6年
  • 運送事業用:5年
  • 貸自動車業用:3年

軽自動車

  • 一般用:4年
  • 運送事業用:3年

特殊自動車

  • 種類により2年から8年

減価償却方法

現在、社用車の減価償却は定額法が原則となっています。

定額法の計算式

年間減価償却費 = (取得価額 - 残存価額)÷ 耐用年数

計算例

  • 取得価額:300万円
  • 耐用年数:6年(普通自動車)
  • 残存価額:0円(平成19年4月1日以後取得分)

年間減価償却費 = 300万円 ÷ 6年 = 50万円

月割り計算

事業年度の途中で取得した場合は、月割り計算を行います。

月割り計算の例

  • 7月に取得(3月決算法人)
  • 使用月数:9か月(7月~3月)
  • 当期減価償却費:50万円 × 9/12 = 37.5万円

燃料費の処理方法

基本的な処理

燃料費は消耗品費または燃料費の勘定科目で処理します。

仕訳例

  • 仕訳:(借方)燃料費 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円

個人使用がある場合の注意点

社用車を個人使用する場合、その分は給与として課税対象となります。

個人使用割合の計算方法

  • 走行距離による按分
  • 使用日数による按分
  • 実際の使用実態に基づく按分

処理方法

事業使用分 = 燃料費総額 × 事業使用割合
個人使用分 = 燃料費総額 × 個人使用割合

個人使用分は給与または役員報酬として処理し、源泉所得税の対象となります。

保険料の処理

自動車保険の種類と処理

自賠責保険

  • 法的義務のある保険
  • 損害保険料として一括計上または前払費用として月割り処理

任意保険

  • 車両保険、対人・対物賠償保険など
  • 損害保険料として処理

保険料の仕訳

年間保険料を一括支払いした場合

  • 仕訳:(借方)損害保険料 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円

月割り処理を行う場合

  • 支払時:(借方)前払費用 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円
  • 毎月:(借方)損害保険料 ×××円 (貸方)前払費用 ×××円

車検費用の処理

車検費用の内訳と勘定科目

車検費用は、その性質により異なる勘定科目で処理します:

法定費用

  • 自動車重量税:租税公課
  • 自賠責保険料:損害保険料
  • 検査手数料:支払手数料

整備費用

  • 点検・整備代:修繕費
  • 部品交換代:修繕費(消耗品の場合)または固定資産(資本的支出の場合)

資本的支出と修繕費の区分

資本的支出となる場合

  • 車両の性能を向上させる改造
  • 耐用年数を延長する大規模修理
  • 取得価額の増加として減価償却対象

修繕費となる場合

  • 通常の維持管理のための修理
  • 原状回復のための修理
  • 一括で経費処理可能

駐車場代・高速道路料金の処理

駐車場代

月極駐車場

  • 地代家賃または駐車場料として処理
  • 仕訳:(借方)地代家賃 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円

一時利用駐車場

  • 旅費交通費または駐車場料として処理

高速道路料金・有料道路料金

ETCカード利用の場合

  • 旅費交通費として処理
  • 仕訳:(借方)旅費交通費 ×××円 (貸方)未払金 ×××円

現金支払いの場合

  • 旅費交通費として処理
  • 仕訳:(借方)旅費交通費 ×××円 (貸方)現金 ×××円

ローンで購入した場合の処理

購入時の処理

頭金支払い時

  • 仕訳:(借方)車両運搬具 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円

ローン契約時

  • 仕訳:(借方)車両運搬具 ×××円 (貸方)長期借入金 ×××円

返済時の処理

元本返済分

  • 仕訳:(借方)長期借入金 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円

利息支払い分

  • 仕訳:(借方)支払利息 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円

税務上の注意点

個人使用に関する課税

社用車を個人使用する場合、以下の点に注意が必要です:

課税対象となる場合

  • 通勤以外の個人使用
  • 家族の使用
  • 休日の私用での使用

課税額の計算

  • 実際の経済的利益の額
  • 1か月当たりの評価額(車種・年式により決定)

消費税の取り扱い

課税取引となるもの

  • 車両購入代金
  • 修繕費
  • 保険料(一部除く)
  • 駐車場代
  • 高速代

非課税取引となるもの

  • 自動車重量税
  • 自動車税
  • 自賠責保険料

帳簿保存の要件

社用車関連の経費処理では、以下の書類の保存が重要です:

必要書類

  • 売買契約書
  • 領収書・レシート
  • 車検証
  • 保険証券
  • 走行記録(個人使用がある場合)

リース車両の処理

ファイナンスリースの場合

リース開始時

  • 仕訳:(借方)リース資産 ×××円 (貸方)リース債務 ×××円

リース料支払い時

  • 元本部分:(借方)リース債務 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円
  • 利息部分:(借方)支払利息 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円

減価償却

  • 仕訳:(借方)減価償却費 ×××円 (貸方)リース資産減価償却累計額 ×××円

オペレーティングリースの場合

リース料支払い時

  • 仕訳:(借方)リース料 ×××円 (貸方)現金・預金 ×××円

オペレーティングリースの場合、リース料は賃借料として経費処理し、減価償却は行いません。

節税のポイント

購入時期の検討

期末近くの購入

  • 月割り減価償却により初年度の償却費は少なくなる
  • 翌期以降の償却費は満額

期首近くの購入

  • 初年度から満額の減価償却が可能
  • 節税効果の早期実現

特例制度の活用

中小企業者等の少額減価償却資産の特例

  • 30万円未満の資産は一括償却可能
  • 年間300万円まで

中小企業投資促進税制

  • 一定の要件を満たす車両は特別償却または税額控除が可能

まとめ

社用車の経費処理は、取得から廃棄まで長期間にわたる会計処理が必要です。正しい処理方法を理解し、適切な書類保存を行うことで、税務調査対応も安心です。

特に個人使用がある場合の課税関係や、リース契約の処理方法など、複雑な部分については専門家への相談をおすすめします。また、税制改正により処理方法が変更される場合があるため、最新の情報収集も重要です。

適切な社用車の経費処理により、企業の財務基盤強化と節税効果の両立を図りましょう。

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