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schedule2022年5月27日近年、充電スポットの増加や走行可能距離が向上したことにより少しずつ普及しつつある電気自動車。
しかし、ガソリン車とは異なり万が一走っているときに「電欠」(駆動用のバッテリーが無くなる状態)になってしまったらどうなるのでしょうか?
そこで今回は、電気自動車が「電欠」になってしまったときの対処方法や事前に防ぐポイントなどについて解説します。
目次
◇自力ではどうにもできない?! 電気自動車の「電欠」
電気自動車はガソリン車とは異なり電気で走るため、電欠が起きた場合には燃料のように買いに行くわけにもいかず、路上で給電ができるわけでもありません。
ガソリンが尽きた場合は給油さえすれば走ることができますが、電気自動車の場合は充電に時間がかかるため、現場での応急対応が難しいということなのです。
ですので、電欠になってしまった場合の結論としては、まずはJAF (日本自動車連盟)や契約しているメーカーのサポートセンターなどへ連絡し、そこからの指示を仰ぐことになります。
また、指示を仰ぐと言っても対処法は一択で「レッカー手配」になります。
最寄りの販売店または急速充電器の設置所までレッカーで搬送してもらい、そこで充電をするという流れになります。
なお、モーター駆動用バッテリーは電圧がとても高く、触れると危険があるため、レッカーを待っているあいだにむやみに触らないようにして下さい。
自動車保険のロードサービスには、電欠時にレッカーを手配できるものが多いのですが、ご自身が加入している保険が対応しているかどうかを事前に確認しておくと良いでしょう。
◇電欠してしまうとすぐに走れるようにならない可能性も
電気自動車のバッテリーには、モーターを駆動させる「駆動用バッテリー」と、ハザードランプやカーナビなどを稼働させる「補器(補機)類用12Vバッテリー」の2種類があります。
電気自動車が電欠を起こした場合は、駆動用バッテリーが無くなっている状態で、補器類用12Vバッテリーで動くカーナビやエアコンなどは使用できる状態です。
しかし、ここで補器類用の12Vバッテリーも上がってしまった場合、システムが起動できなくなるため、駆動用バッテリーを充電しても走ることができず、補器類用12Vバッテリーまで充電する必要が出てきてしまいます。
ですので、レッカーを待つあいだは車内でカーナビやテレビを見るのは避け、エアコンの使用も極力控えるようにして下さい。
また、交通事情によって救援が大きく遅れる場合もあります。
渋滞による立ち往生などの状況ではJAFやロードサービスも来ることができないため、万が一に備えて毛布などの防寒グッズは車に積んでおくようにしましょう。
すぐにJAFやロードサービスに連絡をしたとしても、充電開始ができるまでには約2~3時間はかかると考えておいてください。
◇万が一電欠してしまいそうな時はどうする?
では、電気自動車が電欠してしまいそうな時はどうすれば良いのでしょうか?
ほとんどの電気自動車は、バッテリーの容量が減ってくると電気自動車側から警告が発せられます。
バッテリーがゼロになる前に出力制限モードに入り、メーター上に合図が表示され、一定以上の速度が出ないようになります。
そのため、「気が付かずにいきなり電欠した」ということはまずないといって良いでしょう。
この電欠間近の状態になったら、車両が動くうちに危険の少ない場所に移動させ、停止してください。
完全に走行ができなくなった場合はハザードランプを点灯し、JAFやロードサービスに連絡をしてレッカーを待ちましょう。
上述したように、駆動用バッテリーと補器類用バッテリーはそれぞれ別回路になっているため、ハザードランプは問題なく点灯します。
道路交通法では、高速道路上で自動車を運転することができなくなるのを防がなければならないことになっています。
電気自動車が電欠で走行不可になった場合も違反になる可能性があるので注意して下さい。
◇年々減少傾向にある電気自動車の「電欠率」
2020年度のJAFのデータによると、年間約200万件の救援要請の中で電気自動車の電欠は573件でした。電気自動車の救助要請の中では9.9%です。
電欠の割合はこの5年では、
・2016年度17.8%
・2017年度17.0%
・2018年度15.3%
・2019年度は13.5%
と減少傾向にあります。
この理由や背景には、大型ショッピングモールの駐車場や、コンビニなどにも充電ステーションが設置されたことや、急速充電器が普及したことが考えられます。
カーナビやスマホアプリで、充電ステーションの場所も明確に分かるようになったことに加え、バッテリー容量も年々大きくなってきたことで、電欠のリスクが低くなったのだといえるでしょう。
◇電欠救援車が存在しない理由は?
実は急速充電ステーションが今と比べて少なく、バッテリー容量も低くて電欠のリスクが高かった数年前には、JAFと日産が共同製作した電欠救援車でロードサービスの試験運用をしていたことがありました。
ただ、上述したように、充電ステーションやバッテリー容量が増えた現在では電欠のリスクが減ったため、JAFが電欠救援車を増やすよりレッカー移送した方が安全で早いことが分かったようです。
そのため、今ではレッカー移送の一択となっています。
◇バッテリーの急速充電には注意!
動力用バッテリーは、急速充電によって劣化が加速してしまうことが分かっています。
特に高速道路の走行直後に急速充電をすると、走行で加熱したところにさらに熱を加えることになり、バッテリーに負荷がかかります。
そのため、自宅での普通充電器のみで乗っているケースの方がバッテリーは長持ちする傾向があります。
もしも長距離移動する場合は、バッテリーを使い切ってから充電するのではなく、目安として「80%程度で走行し、50%付近になったら充電をする」というような走行方法が良いといわれています。
ちなみに、自宅などの普通充電では約8時間でフル充電となりますが、特定の充電ステーションやディーラーなどに設置されている急速充電器であれば、約30分で80%近くまで充電することができます。
普通充電を約1時間行えば30km程度は走行可能になるため、まず1時間ほど普通充電で少量回復させ、その後で急速充電器のある施設まで移動することもあるようです。
◇ドライブ計画は充電スポットもしっかりと計算に入れておく
充電スタンドが1基しかない充電スポットに先客がいた場合は、先客の充電が完了するまで待たなければならないこともあり得ます。
そのため、あらかじめ目的地やエリアが分かっているのであれば、カーナビやスマホアプリの走行ルートに、複数の充電スポットを組み込んでおきましょう。
アプリによっては充電スポットの満空情報が表示されるものもあるため、積極的に活用するとよいでしょう。
電欠が起こることによって、綿密に立てたドライブ計画も狂ってしまうので、予定していた充電ステーションで充電できないケースも計画に入れ込むことが必要です。
◇まとめ
2019年時点では急速充電器と普通充電器合わせて3万基以上が、自動車販売店や商業施設、高速道路、道の駅などに配備され、稼働しています。
そのため、充電がなくなりそうになったとしても、よっぽどの田舎や山奥でない限りは、何とか充電スポットにたどり着ける可能性は高くなってきてはいます。
今後多くの人が電気自動車に乗るようになり、よりインフラが整備されれば電欠のリスクもさらに減っていくといえるでしょう。
また、電気自動車の場合はガソリン車のように「燃料を入れたら即出発」とならないのが弱点ですが、「電気代はガソリンの半分以下の価格」という大きな魅力もあります。
目的地や充電ステーションまでの距離と充電の残りをきちんと把握して計算していれば、電欠になることはそうそうありません。
走行前にきちんとバッテリーの状態や、走行ルートの充電スタンドの有無などを確認し、もしもの時は冷静に対処できるようにしておきましょう。